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木とともに暮らす日々Woody Days

つくる、くらす、いきる

取材・執筆/それからデザイン 写真/杉能信介

日差しがまっすぐに降り注ぐ、とある日曜日。
埼玉県を流れる高麗川のほど近く、県道から1本入ったところにある堀内(ほりうち)邸をめざして車を走らせていると…。

「ウィィィイイン…!」
まず最初に出迎えてくれたのは、電動ノコギリの音でした。

作業着に防護用メガネ姿の男性が汗をふきふき、さわやかに登場。
堀内邸のご主人、達也さんだ。

 

「娘の磁石遊び用の〝黒板″をつくっているんです」
慣れた手つきで、木材を扱う。

堀内さんのお宅は、ご主人の達也(たつや)さん、奥様の光希(あき)さんと、かわいい娘・花(はな)ちゃんの3人家族。

 

すごいですね、かなり本格的ですね。
「そうですね、まだまだ作りたいものがたくさんあるので」
と、夫婦で顔を見合わせて笑う。

堀内家の「つくる」が趣味の領域をとうに超えている、と理解するのに時間はかかりませんでした。
家屋に併設された木組みの作業小屋。
この小屋は、なんと達也さんが一人で施工したそう。

 

「家が引き渡しになって、まず最初に自分でつくったものです。木材はYutakaさん経由で仕入れさせてもらって。技術的なアドバイスを棟梁の保さんにしてもらって」

小屋にはいわゆる「プロの道具」がたくさん詰まっている。見たことはあるけれど、一般人には名前がわからない、家の建築現場にあるようないろんな道具たち。
そして、小屋の横には、ならしたばかりの土地が。

これは、何をつくっているんですか?
「次は、薪小屋を作ろうと思って」
ランマーという地盤を固める機械はご近所さんから借りて。ペットボトルで自作した水平器で水平を取って。
自分たちだけで、土地をならし、建築工事を行い、薪小屋をつくるという。
「夏が終わるまでに完成させたいですね…これから計画的にやっていかないと」
と真剣な表情の達也さん。
確かに、このクオリティと工事の規模。もはや「生業」とでもいおうか、そんな迫力がある。

「じゃあ中に入りましょうか」。光希さんが一つ一つ石を敷き詰めたという、砂利石のアプローチを通って、おうちの中へ。

長野出身でスキーが大好きだった達也さんが、東京生まれ・東京育ちの光希さんと出会ったのは6年前。

かつて短大でお菓子作りを学んでいた光希さん。その短大の助手の先生が、卒業後にセッティングしてくれた飲み会が2人の出会いでした。
とっても息がぴったりなおふたり。やはり出会った瞬間に運命的なものを感じたのかな。

「実は私は、男性と話すことがあまり得意ではなくて。あまり気が進まない飲み会だったのですが、断れずに参加したんです。だから正直、主人の第一印象は特に残ってなくて(笑)」。一方の達也さんは「一目で、素敵な人だな、と。それで、僕からメールを送ったんです」。

達也さんの一目ぼれで始まった2人の歩み。じょじょに光希さんも打ち解け、出会ってから半年後、本格的にお付き合いをスタート。その時、すでに光希さんは結婚を意識していたんですって。

「真面目で几帳面、生活力があって…、なんだか、自分の父親に似ているなと思って」
光希さんのお父さんは、高校の先生。手先が器用な人でちょっとした工作をするのが得意なのだそう。また、ボーイスカウトの指導者でもあり、頼れるお父さんなのだとか。
出会いからの時間の中で、いつの間にか、達也さんとお父さんを重ねていたのですね。

達也さんは自衛隊にお勤めで、パソコンや電話など電子機器類のシステムの設計、ケーブルの敷設など、基地内の通信関係を管理する部門に所属。「デスクワークと手仕事が半々ぐらい」の仕事をしているそう。

車やカメラ、機械や電気。博識だし、一度はまったらトコトン追求タイプにお見受けする達也さん、小さな頃から機械いじりなどをしていたのかなあ?
「長野の実家に広い庭があるんですが、そこに車をいじりに来ていたのが、“坂戸のおじさん”と呼んでいた叔父でした。4、50年前の中古車を分解して2台の車から1台の車を作っちゃうような…そんな車いじりをしている様子を、3歳から家を出るその時まで、ずーっと見て育ちました」

一方、3歳から中学生まで、毎週1回、兄姉と一緒に絵画教室に通うという芸術一家に育った光希さん。お菓子作りや洋服づくりに興味を持ち、「手作り」が好きになるのは、必然でした。高校時代につくった仕掛け絵本が学校に展示されていたこともあるそう。

光希さんは小さいものを作るのが好き。達也さんは大きいものを作るのが好き。
2人合わせたら、なんだって自分たちで作れる。そんなおふたりです。

住まいづくりが始まったのは、結婚後、花ちゃんが生まれ、官舎暮らしを始めた2年前から。

「自衛隊勤めなので、転勤族だし、そもそも家を購入するべきか、どうするか、という話になりました。ただ、当時暮らしていた官舎だと、自然がないし近所づきあいもそれほどない。エレベーターもついていなかったので、外出するのも一苦労で、できないことが多すぎるのではないかと思いました。自分自身が自然と触れ合って育ってきたからこそ、子どもにも同じ体験をさせたいと考えていました」と達也さん。

通勤のこと、お互いの実家のこと…様々な条件から住む場所を考えると同時に、ハウスビルダー探しも始めたそう。
「自然素材を使っている工務店で建てたい、というのは最初から決まっていましたね」と光希さん。そこで2人の目に留まったのが、埼玉の地元の木、西川材を使った家を建てているYutakaです。

「土地から探してほしいと連絡して、その後すぐに会いに行きました。Yutakaの安食社長と最初に会った日は、土地を見に行く予定はなかったのですが、安食さんがその場で、“よし今から見に行きましょう”、と。行動力のある社長だなと思いました」
ほどなくして、現在お住まいの場所が見つかった。
駅から徒歩圏内でありながら、道路から少し奥まった閑静な場所。
お隣の家との距離も申し分なく、周囲は豊かな自然があふれている。

しかしここで、慎重な達也さんは深く深く考えたそう。
「まわりの環境だけは後から変えられないですからね。断層は大丈夫かどうか、あとは近くの高麗川が暴れ川と聞くけれど大丈夫か…と調べつくしました」
そんな達也さんを横に、光希さんの気持ちは最初から決まっていたそう。「絶対にここがいい!」。
達也さんいわく、光希さんの「直感」は一番信じられる。

対照的なのにどこか似ているお二人。
話し合って「こんな家にしたい!」と描いたイメージは、かなり具体的でした。

「まずほしかったのが薪ストーブですね。北海道のスキーで体験した記憶が残っていたのもあるのかもしれないし、あとは、YutakaさんのOBのお客さんのおうちを見せていただいたときに、薪ストーブが印象的で」と達也さん。

光希さんは、「私は、子どもに火を使わせたかった。最近マッチを付けられない子がいると聞きます。娘の花には、火の使い方をこの薪ストーブで覚えてほしいなあって」。

「毎日が部活みたいで。子どもが寝たら、2人で“さあやるぞ!”と図面やノートを広げて、ミーティングが始まるんです」。光希さん、とっても楽しかったみたい。クスクスと笑いながら教えてくれました。

そもそもYutakaに家づくりを依頼する、と決めた理由も聞いてみよう。
「そうですね、検討過程では複数のビルダーを比較しました。ただ、最後は信頼できるかどうか。その点、Yutakaさんは安心でした。例えば、普通のハウスメーカーや工務店だと、家が完成して引き渡したら、“はい、さようなら”となってしまうところも多いと聞きます。でもYutakaは、むしろ、建ててからが違う。例えば、バーベキューでOBが一同に集うなんてことも。それを目の当たりにして、これはすごいなと。なかなかそういうところはないですよね」と達也さん。

家が竣工し、引き渡しになったその日、Yutakaの棟梁、保さんにお願いして、柱に家族3人の身長を刻んだそう。
そこから堀内家の新しい暮らしが始まったのですね。

こだわり抜いた住まい、その住み心地も聞いてみたい。
実際、薪ストーブのおうちはどうですか?
「まず、冬は足元がほんとうに暖かいです。それに、薪ストーブがあるおかげで、たくさんの人とのつながりができていく感じがするんです。“あ、あの屋根に煙突がついているおうちね”とみんなにすぐに覚えてもらえるし、“木があるよ”と薪を譲ってくれる方がいたり」。
近頃は野菜をお裾分けしてくれるご近所の方がいたり、花ちゃんとお散歩をしていると話しかけてくれる方も多いそう。
あったかいコミュニティの中、すくすく育つ花ちゃんです。

これからは、どんな暮らしをしていくのかな。
達也さんは、「今取り掛かっている薪小屋は夏の間には完成させます。ただ、薪を置く場所はもっと必要なんで、さらに隣のお家との境界に薪置き場をつくります」とのこと。

光希さんは、「先日、庭にクラピア(岩垂草)を植えました、まだ少ししか芽が出ていませんが、これからどんどん増えてグラウンドカバーになる予定です。お花が咲き、花畑になることを楽しみに、娘と一緒に庭いじりを楽しんでいきたいです。そして、もう少し娘が大きくなったら、趣味のアイシングクッキーを一緒に作りたいですね」

アイシングクッキーづくりが得意な光希さん。なんと、Yutakaのアイシングクッキーも作ってくれていました。

「作りたいもの、作らないといけないものがいっぱいある!」という2人。
休日も、朝6時に起床。

達也さんは8時から工事をスタート。最初は音が出ない作業から始めます。
そして朝ごはんの片付けを終えた光希さんと花ちゃんが、つなぎを着て合流。

休みの日にどこかに遊びにいくのもいいですよね、でも、暮らしを自分たちの手でつくっていくって尊いですね。

つくる日々が、暮らしとなり、その暮らしのかさなりは「人生」になる。
ご夫婦、そして花ちゃんも加わって。
家族みんなで一歩一歩進んでいく堀内家です。

(2017/5/21 取材・執筆/それからデザイン)

堀内邸 DATA

所在地 埼玉県日高市
お引き渡し日 2017年2月
家族構成 夫婦+娘1人
こだわりワード 西川材、薪ストーブ、ラジエントヒーター

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