Yutaka

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自然素材の家でのくらし。オーガニックでゆたかに生活する人たちの物語。

Woody Days

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木とともに暮らす家Woody Days

ウッディ&モダン

取材・執筆/それからデザイン 写真/杉能信介

西所沢駅から車で10分ほど。広い道路から一本入った静かな住宅地の一角に丹羽邸がある。白い漆喰壁ともみじのシンボルツリーが目印。

「こんにちは!」と明るい声で奥様の絵美さんが迎え入れてくれた。
大きな窓の外では、もみじが赤く色づいている。
そして、階段の途中から恥ずかしそうに来客を見つめる男の子が。
「もみじ、この前までは違う色だったんだよ」とはにかみながら教えてくれたのは、6歳になる息子さんの理人(りひと)くん。

 

この家の持ち主、丹羽 智哉(ともや)さんは人材系の企業にお勤めで、都心まで日々90分以上かけて通っているそう。
長い通勤の支えになるのは、奥様の絵美さんと理人くんの存在なんだろう。
ふたりは手先がとても器用で、ものづくりが大好き。「こんなものを作りたい!」と思ったら、自分で考えて何でも作る。

 

ダイニングテーブルの脇に置かれた小さな机は、理人くんの作品ギャラリー。まるで宝箱のように、いろいろな作品が展示されている。すごいなぁ、と眺めていたら、理人くんがそっと寄ってきて「これ、この間作ったんだよ」と嬉しそうに教えてくれた。

智哉さんと絵美さん。お二人の馴れ初めの舞台は、カナダ。
留学エージェントで働いていた絵美さんとワーキングホリデーでカナダにいた智哉さんが出会った。
当時、絵美さんも、カナダにわたって日が浅かったのにも関わらず、市街を案内して回るなど「頑張らなければならない」場面が多かったそう。そんなときに出会ったのが智哉さんだった。

「“みなさん、銀行を案内しますね!”と元気よく言っておきながら、えっと、どこだっけ・・・?と探したりして。そんな私を見かねた彼が、一緒に探してくれたりしたんです」

智哉さんは将来の進路を模索するなかで、カナダでのワーキングホリデーに参加。もともと論理的に積み上げて考えるタイプの智哉さん、カナダで、持ち前の明るさと「コレ面白い!素敵」と感じたら突き進んでいく感性120%の絵美さんに出会い、価値観が揺さぶられたという。
「なんなんだろう?この人は、と思って。自分の辞書にはないタイプ。だから面白いと思ったのか…」と智哉さん。

「私にとっては、“心ときめくかどうか”がすべてです!」と絵美さん。
理論派と感覚派、まったく違うタイプのように見える2人。しかし、ともに「この人が運命の人だ」と感じたのでしょう、カナダから帰国すると、智哉さんは、絵美さんとの交際を大事にするため、愛知から上京、夫婦となりました。

そんなお二人、初めて一緒に暮らした家は、コンクリート打ちっ放しのマンションだった。「洗練されていて、現代的な空間」が、二人の共通の好みだったそう。

「当時は、ずっと暮らしてきた実家とは違うテイストの家に住みたかったんです」と絵美さん。絵美さんのお母様は、アンティーク家具の愛好家。絵美さんは、無垢の木の家で旧き良きものに囲まれて育った。丁寧な暮らしをする絵美さんのお母様は、常に引き出しの中まで整理整頓を欠かさず、いつも美しく片付いた住まいが当たり前だったという。

しかし、絵美さんは、そんな実家の住まいに対して、少し複雑な思いがあったよう。
「当時そんな家はどこにもなかったし、友達の家とも全然違っていて。“木でできた家が好き”だとは思っていませんでした。心の中では、母に対するちょっとした反発もあったのかもしれません」。

現在お住まいのYutakaの家は、コンクリート打ちっぱなしとは対極。絵美さんのご実家と同じ「木の家」。
なぜ、そういう選択をしたのでしょうか?

理人くんにも恵まれ、家を建てよう、と考え始めたお二人の最初の希望は、「設計デザインから施工まで一気通貫で建ててもらえる注文住宅」。この条件で絞り込んだいくつかの選択肢の中に『Yutaka の家』があった。最初の打ち合わせは今でも忘れられないとお二人とも声を揃えます。

「社長の安食さんがいきなりA3の白紙を取り出して、“丹羽さんのおうち”って鉛筆で描き始めたんです。聞かれるのは、もっぱら家族のこと。“理人くんはどこの幼稚園? 家族で休みの日は何をしてるの? これから3人でしたいことは?”って」。

普通は、ご予算は?間取りは?から始まる家づくりの打ち合わせ。まったく予期せぬ展開、そんな状況に、戸惑うどころか「社長に恋しちゃいました」と笑う絵美さん。
一方、智哉さんは「私達のこれからの人生で起こるであろう諸々のイベントごとを考慮したうえで、無理のない計画を具体的に提案をしてくれました。それで、家を建てるということがグッと現実的に見えるようになりましたね」と冷静に語る。
理性と感性、2人の会話は、いつだってそんなふうに展開して、とっても気持ちがいい。
2人とも、「Yutakaの家」にググっと惹かれたというところは、おんなじ。

とはいえ、この段階ではまだ『Yutaka の家』を建てる気にはなれなかった。いい家だとは思ったものの、絵美さんの実家のような木の家は、自分たちのテイストではないと思っていたからだ。
しかし、智哉さんはYutakaの住まい教室に参加したときに、ガツンと考えを変えられたという。

「Yutakaの設計士さんに“かっこいいだけのデザインは商業施設に任せればいいじゃないですか”と言われたんです」

確かに、自分たちが暮らす場所は、商業施設とは違う。じゃあ家って何だろう、家族とは、そこで過ごす時間、暮らしとはなんだろう・・・。

勉強会の参加をきっかけに、「自分たちが住みたいのは“かっこいいだけ”の家ではない」と気づいた智哉さん。「では、何を大切にしていきたいのか?」と自問自答したそう。

そこで思い浮かんだのが、絵美さんの実家でした。

「見てください、これ」と智哉さんが見せてくれたのは、約20年前のインテリア雑誌。そこには、絵美さんの実家が掲載されていた。

「どう思いますか? 今見てもいい家だと思いませんか?」 「同じ雑誌に掲載されている他の家は、正直、今見ると“ああ、一昔前の家だな”とわかる。でも、なぜか絵美の実家だけは違う。とても素敵なんです」。

住めば住むほどに味わい深くなる、木の家。
新築のときが一番良いのではなく、10年後、20年後にエイジングがかかったときに良い家。

智哉さんは、その価値に改めて深く気づいた。「これが本当の家の姿だ。自分も流行に左右されない、本物の木の家に住みたい」と思ったという。

こうした智哉さんの心境の変化に絵美さんも徐々に影響され、実家への思いも次第に変化していった。

「エイジングで黒ずんだ実家の床を“素敵だな”と思うようになりました。母が何十年もずっとやっている丁寧な暮らし、アンティーク家具など古いものを愛する心、木に囲まれた暮らしの良さ・・・そうしたものを、実は私も好きだったんだなと、ようやくわかりました」

長年住み継げる本質的な価値を持ち、かつ、夫婦「らしさ」を持ち合わせた唯一無二の家づくりへ。夢を大きく膨らませた二人は“夢ノート”を作った。

「ここはこんな雰囲気にしたいという理想のイメージをインターネットから拾ってきて、
“いっせいのせ”で見せ合ったんです。思ったよりも共通項が多かったですね」と絵美さん。
「いま見返すと、けっこう実現できたよね」と智哉さんも懐かしそうに眺める。

お二人の住まいに対する価値観は、家づくりを通じてしなやかに変化していった。その結果生まれた新しい価値観も二人仲良く共通していたのだ。

違うようで同じ。同じようで違う。そして、「違う」ところがあるからこそお互いが補完しあえる存在なんだということも改めて気づいたそう。

「彼は理詰めのようでいて、けっこう柔軟なタイプ。一度納得できれば、それまでの考え方にとらわれずに変えていける人です。“開き戸より引き戸の方がスペースを有効に使える”と聞いて“なるほど”と思えば、全部引き戸にしてしまう。そういう思い切りの良さはすごいなと思いました」と絵美さんは言う。

「なんだか想像がつかない初めてのものと出会うと、“ん?なんだろう?”と興味を惹かれる性格なんです。彼女が言うことは、感性から出ている言葉だと思いますが、それが自分にとって理にかなったものなら、“そうか、そうだったのか”と素直に納得しますね」と智哉さん。

そんな中でも、1点だけ、夫婦の意見が違うところがあった。

「私は理人のために、仕切りをなくして大きな子ども部屋を作ってあげたいと思っていたんです。でも彼が、“理人はいつまでも5歳じゃないんだよ”と。子どもが巣立ったあとの夫婦の生活の方が長いんだから、20年、30年先を考えて個室のある3LDKにしておいた方がいいと言われました」

可愛い盛りの子どもがいると、どうしても子ども中心に考えたくなるもの。
智哉さん、どうして、そんなふうに思ったんですか?
「恥ずかしいから本当は言いたくないんですけど・・・。一番大事にすべきは、子どもじゃなくて自分が選んだ人・・・妻を大切に、というのが僕の考え。子どもはいずれこの家を巣立つもの。だから、その先にある夫婦の暮らしまで見据えた家づくりが大切だと思います」

仲がよい両親の元で育った智哉さん。「夫婦」が生活の中心であり、土台である。
絵美さんを大切に、最後は二人で幸せに。
普段は口にしないけれど、この家にはそんなメッセージがこもっているんですね。

そして、こうして作り上げた家は、yutakaの家の中でも、ふんだんに2人ならではの感性が取り入れられた「丹羽家オリジナル」になりました。

たとえば、2Fリビングの壁の一部は、黒。『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘプバーンのパネルが映えます。

黒いシーリングファン、アイアンの手すり・・・無垢の木に、硬い質感のアイテムがほどよく溶け込み、ウッディ&モダン、そんな「新しい世界」ができあがりました。

この家に住み始めて約1年。住み心地はいかがですか?
「大好きです!建てる前から大好きで、住み始めてからも毎日大好き!が続いています」と絵美さん。

たっぷり造られたキッチン収納には、まだほとんど食器が入っていない。

「実は、これから揃えようと思って。焼き物が好きなんですけど、前の家では収納する場所がなくて諦めていたんです。これから1つずつ、本当に気に入ったものを買い揃えていきたいなと思っています」。

夫婦2人だけの時間も大切にしている。
「大きなLDKの天井が二人とも大好きなんです」。理人くんが眠りについたあと、2人並んで座ってコーヒーを飲みながら、よく天井を眺めているのだそうだ。

すくすくと育つ理人くん。
ピアノにギター、音楽の才能にあふれた男の子。
ぜひ演奏してほしいとリクエストしたところ、絵美さんが一言、「アレクサ、曲をかけて」。

スピーカーから流れる曲にあわせて、小さなギターを弾きつつ理人くんが歌う。
そこに、智哉さんがギターで参加。
「私も普段は参加するんですけれども」と笑顔で見つめる絵美さん。
アンティークなジュークボックスの横に、話しかけるだけで音楽再生ができるいわゆる“IoT”家電の象徴、スマートスピーカーがある。

旧き良きもの。その横に、新しいものが並び立つ。
これが、丹羽さんのおうちです。

(2019/12/08 取材・執筆/それからデザイン)

丹羽邸 DATA

所在地 埼玉県所沢市
お引き渡し日 2018年12月
家族構成 夫婦+子1人
こだわりワード 西川材,北欧デザイン,自然素材,吹き抜け,アイアンを使ったインテリア

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