Yutaka

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BLOG-01棟梁日記

本音と建て前

      こんにちは。

 夜風が気持ち良い季節になりましたね。

 YUTAKA  Handmade 脚折の家は先週土曜日上棟いたしました。

 心配していたお天気もなんとかもちまして

 無事に上棟。

 

 弟子のカズマが刻んだ材料は木槌で叩き良い音を響かせながら納まっていきます。

 納まりや刻みが不十分なところは僕に怒鳴られながら(笑)

 大粒の汗をかいておりました。

 

 自分も墨付けは久しぶりで、二ヶ所程、間違えておりました。

 こうして建て前で間違えると、周りの大工や職人に大変迷惑を掛けるし

 恥ずかしい気持ちで一杯になります。。。

 

 自分が小僧の時に読んだお話しがあります。

 

 昔、ある高名な棟梁がいて、建て前の前日の晩になって

 玄関の柱が短かった事に気づいてどうにもこうにもならなかったそうです。

 その棟梁は間違えを恥じ、自殺しようとまで考えました。

 それほど誇り高き棟梁だったんですね。。。

 それを見た奥様が余りの落ち込みように、棟梁にお酒を沢山飲ませ

 寝かしつけ、一晩寝ないで考えたそうです。

 その奥様が考えついたのがマス組と言うもので

 朝、起きた棟梁に三つのマスを差し出すと棟梁も「わかった!」と。

 一升マスと五合マスと一合マス。

 そのマスを使って、見事に柱の足りない部分を補ったそうです。

 

 ところが、その棟梁は、夫婦と言えども元は他人。

 万が一別れてしまったらこの恥が外に出るかも知れぬと

 奥様を殺してしまったそうです。

 殺してしまって末代まで祭ってやると言う事で

 女の七つ道具、口紅、おしろい、くし、かんざし、鏡

 かつら、こうがいを棟に飾って供養したのが「建て前」と言う儀式の始まりと伝わっております。

 

 このように、棟梁たちによって語り継がれた切ない「建て前」の神話は

 家を建てる事=建て前を仕事とした男の執念と

 その男の生き様に「本音」で殉じた女

 「本音と建て前」の語源となっているそうです。

 

 僕の親方はほとんど間違える事なく建て前をこなしました。

 僕もプレカット全盛以前は間違え無く納めてきました(ごめんなさい。たまに間違えました(笑)

 

 今回、久しぶりに墨付けをして、「建て前」で恥をかきました。

 この「恥」を宝ものにYUTAKA  Handmade を磨いていきたいと思います。

 「棟梁」の地位を汚さないためにも。

 まだまだまだまだ修行の日々です。。。

 

 あっ!うちのカミさんには間違えた事はないしょ。。。

 

        棟梁 安食 保

 

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yutaka | 2015年9月28日

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